各種畑作物栽培の要領
※さつまいものつるを植え付けた畑には、一般に青菜類を間作すると都合がよく有利である。
豆類を間作する場合は、白大豆を株間6寸、うね間1尺5寸間隔で、一穴に4-5粒播くが、
その中に3、4尺間隔に小豆を混作するとよい。
※粟畑には、大豆(直立短茎種)、下大豆(葡萄性の大豆)、小豆などを混作してもさしつかえない。
あとさきの都合を考えて播きつける
※麦を作付ける畑を耕起するには、畑一面にかややすすきの類を広げて焼く。そうすると
灰肥ができ、さらに土も焼けて肥えるので、麦はよく生育する
※マージ土壌で膨軟なふくめき土(ふかふか)へは、石粉(珊瑚石灰岩)を施肥するのがよい。
(酸性土壌の改良効果)
※さつまいもの寄せ植えは、次のように行う。
夏植え、冬植えとも株間6寸、うね間1尺5寸間隔とし、いもずるを一本ずつ並べて植える。
こうして、つるが5、6寸くらいに伸びたころ水肥をかけ、鍬で中耕除草をする。
その後、2尺2,3寸ほどになったら、つるの先端を1尺ほど切り捨て、また水肥をかける。
※さつまいもを寄せ植えし、さらにその畑に、そら豆を間作するには、株間、うね間とも
2尺間隔として、さつまいものつるを2本づつ深く挿し、そこに厚めに肥料を入れて手で
押さえ、その後にそら豆の種子を播く。手入れは右と同じである。
ただし、そら豆は、株と株との間は、さつまいもと同様だが、うね間は一条おきに播きつける。
そら豆を収穫した後のさつまいもには、地味を考え合わせて水肥を施す。
※綿は、株間3,4寸、うね間4尺5寸として2条植えにする。そして、地味によって加減しながら
施肥をする。
さらに綿の株と株との間の空いているところを打ち起こして、さつまいものつるを2本づつ、
株間1尺、うね間4,5,寸間隔のまん中に根を互い違いにして穴を掘って挿し、肥料のまじった
土をかけ、垣根のように条植えにする。その後の手入れや除草は、はえ芋栽培と同様にする。
綿の収穫が終わりしだい、花の咲いた、いもづるを抜き取って収穫する。
そこに株間5寸として穴を掘り、肥料を施して、そら豆と麦を植え付ける。
なお、さつまいもには、地味を判断しながら施肥する。
※株間5寸、うね間4尺の間隔で穴を掘って肥料を入れ、麦とそら豆を播種する。
これらの草丈が3,4寸のころ、株と株との間の空いているところを耕起し、さつまいもの
つるを植えつける。麦やそら豆を収穫したら、その穴に大粒種の白大豆を一穴4,5粒づつ
播き、灰や細かい土を間に入れて押さえておく。
ただし、そら豆の播種期は霜降から立冬の節までである。大豆やはだか麦は霜降の節から、
小麦は初子の節から播種する。麦は、明日播種しようときめたら、前夜海水に浸してから
播種する。
※菜種は、株間6寸、うね間3尺間隔に穴を掘り、肥料を入れてから2条植えにする。
草丈が4,5寸に伸びたら、中耕除草をする。寄せ植えにするなら、はえ芋畑に間作しても
よいものである。
※さつまいもの種いもの伏込み間隔は1尺くらいがよい。
※種いもを伏せ込むには、いもを3日くらい灰の中の挿し込んでおき、いもの頭部を3分、
尻の部分を1寸ほど切り捨て、切り口に灰をつけ、ざるに畑土を入れてそこに埋める。
※つるが少し伸びてきたら屋敷周辺の菜園に移し、肥料を入れて伏せ込む。
つるが2尺ほど伸びたころ、先端の約1s尺を切り捨てると、新芽が次第に増えてくる。
こうして折りをみて、根元を手を押さえつける。
※ごぼう畑をこしらえるには、6月の土用の節から9月まで、2尺5寸ほどの深さに耕起する。
なるべく、5,6回 耕起するが、手間のない場合は3,4回とし、肥料を入れる。
3.除草と施肥の方法
※菜種の油粕一升に灰四升を加え、 いろいろな作物の肥料に使えば効果がある。
また、菜種の油粕一升に灰二升、水二斗を加え、水肥とする。
※麦作では、一穴に上の肥料を3勺づつ。
※さつまいもには一穴に上の肥料を5勺づつ。水肥は2合づつ。
※大粒豆、白大豆、綿にも、下畑と下々畑には水肥を用います。
※そら豆には、一穴に上の肥料を5勺づつ。
※海辺からとれる肥料には、波打ち際に寄せられた海藻類、細やかな砂、笹の根ぎわに積もった
黒い細かな砂などがあり、これらはどの作物にも効果があるものである。
※特に笹の下の黒砂は、肥料としての効果が大きい。
※小便肥を使う時は、灰二升、水二斗、小便三升の割合で混ぜ合わせる。
※貯え方は、牛を飼っているところに穴を掘り、馬糞やその他の掃除のときの
ゴミなどを入れ、牛に踏ませるとよい。
※大根畑も右と同様に一人当たり10坪づつこしらえ、3、4回耕起する。
畑ごしらえの時に肥料を入れ、浅く切り混ぜる。
寒露から霜降の節の間に播種する。うねは一尺間隔に立てるように心がける。
※人参も大根と同じ。
※やまいも畑も同様に一人当たり10坪づつこしらえ、2度耕起する。
石粉と馬糞を等量にまぜ合わせ、一穴にもっこ一杯分づつ入れる。
2−3月に植え付ける。
※へちま、かぶ、なすの播種時期は、1-2月である。
十六ささげは、7-8月以降。ふじ豆は、2−3月、えんどうは10月中
※ジャーガル土壌は、3度耕起する。3度目にかや、稲藁、豆がら、あだんの葉、その他の草、
そだの木の類を軽く踏み込んで元肥とし、さつまいもののつるを植えれば、新しい土地のように
よく出来ます。
※くろよなの葉が格別に効果がある。
※やせ地では、緑肥用の青豆を播き、うない込む。そしてさつまいもを植える。
ラベル: 農書