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在来種育てて20年

在来種育てて20年/新垣恒成・美佐子夫妻(那覇市首里) 2002年12月16日


  戦前には県内で広く栽培されて市場に出回っていた懐かしい沖縄野菜の在来種や、沖縄で開発された品種にこだわって栽培している夫妻がいる。那覇市首里汀良 町に住む新垣恒成さん(70)と美佐子さん(56)で、自宅裏のアタイ(屋敷内の畑)には、長さ一メートル以上になるナガナーベーラーと呼ばれるヘチマや 戦前に開発されたイモの品種「沖縄百号」など20種以上の在来種を20年以上にわたって育てている。新垣夫妻は「昔の野菜にも良さがあり、おいしい昔味を 残したい」と話している。
  恒成さんによると、戦前に出回っていたナーベーラーは長さ約1メートルの品種が主流だったという。「私が中学生の時、父の栽培したナガナーベーラーを兄が首里から那覇まで売りに行ったのを覚えている」と振り返る。
  ところがナーベーラーは品種改良され、現在の長さ約30センチメートルの短いものが主流になり、長いナーベーラーは姿を消してしまった。約20年前、首里 の民家で「ナガナーベーラー」が植えられていることを知り、種を分けてもらって栽培を続け、毎年百本以上を収穫している。今年夏には一本が最長180セン チメートルまで伸びた。
  「いくら昔にこだわっても、味が良くなければ意味がない。ナガナーベーラーは湯がくと鮮やかな緑色になり、出てくる汁も甘みがある。ビールのつまみに酢みそあえは実においしい」と夫妻は笑顔で話す。
  このほか沖縄で開発され、1934年から61年ごろまで全国的に普及したサツマイモの品種「沖縄百号」も栽培し、ろうそくが流れたような表面のロークス ゴーヤーと呼ばれるゴーヤーの在来種、イーチョーバー(ウイキョウ)、フィファチ(ヒハツモドキ)、ンスナバー(フダンソウ)、ニジャナ(ニガナ)、チ デークニー(島ニンジン)、チリビラ(ニラ)などを自宅裏の約330平方メートルの畑に植えている。
  夫妻が1年前に新築した住宅は赤瓦の平屋で、恒成さんは首里伝統芸能文化協会の副会長として首里の組踊の継承にも取り組むなど、沖縄の伝統にこだわってい る。恒成さんは「伝統芸能は伝承と創作の双方が柱となって引き継がれていく。沖縄の野菜だって創作ばかりでなく、在来種の伝承をしてもいいと思った」と話 していた。

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